頂
□あんあんぱっぴー*
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頬を赤く染めてみたいから「好きだ」って言ったら「俺様もロイド君のことだーい好き!」っていわれてこっちのほうが赤くなる。
いつも余裕のある表情をしてるから、いたずら心で膝カックンをしようとしても、身長が違うから当然うまいこと膝に決まらなくて余計に悔しくなる。
そんな感じで、ゼロスは俺よりいつも一枚上手で、昨日も今日も明日もずっとそうだと思っていた。
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だから、ベットの上で壁に背をあずけ、だらしなく放り投げられた四肢。
そんな無防備な体勢で眠る姿に自然に引き寄せられ、口付けをしただけで耳まで真っ赤に染めたゼロスが見られるなんで思ってもいなかった。
「ぜ、ゼロス....起きてたのか」
起きているか何て少しも考えていなかったし、そもそもゼロスはいつだってこういう事をしても、余裕がありそうな顔してるのに...どうしてこんなに赤くなるんだろうか?
「ま、まさかあのロイド君が夜ばいだなんて〜、俺様こわーい」
「夜ばい?」
「...あぁ、熱血バカなロイド君がこんな言葉知ってるはずないか〜」
ゼロスはすぐにいつもの調子に戻ってしまったけれど、まだまだ治まりそうにない頬と耳の赤みと、少し掠れている眠そうな声がなんだか可笑しくってバカにされたはずなのに、たまらずに吹きだしてしまった。
「なっ、なんだよ」
「ははっ...いや、可愛いなって思って」
そう言うと赤かった顔をますます真っ赤にしてうつむくゼロスに、俺のいたずら心はむくむくと膨らんで、多分ゼロスがこんなに素直なのは今しかないんじゃないかと、今だけはゼロスが子供みたいにみえた。
「ちょ...ロイド君、近いよ〜もしかして俺様に欲情しちゃ...」
「ほいっ」
「はぁ〜!?」
突拍子もないタイミングでゼロスに飛びかかる。油断していたのかあっさりとゼロスはベットに倒れこみ、俺はゼロスの脇腹あたりに膝をついて顔の両隣に両手を置く、いわゆる四つんばい状態になった。
「まじかよ...」
さっきよりも少しだけ赤みが治まってきたゼロスの顔は、呆れているような照れているようなよく分からない表情だったけれど、もう一度その唇に触れる。暑くなってきた。多分俺の頬も赤くなっている。
また赤くなったゼロスの頬をぷにぷにとつつく。ゼロスはその間何も言わず、俺もこの後のことをちっとも考えていなかったので気まずい沈黙が流れる。とりあえずゼロスが口を開くまで俺はひたすら頬をぷにぷにしていることにした。ほどよい弾力で心地よい。
「...ロイドくーん。盛ったんだったら最後までやりとげようぜ?」
「は、最後...?」
ゼロスは俺がその[最後]の意味を分からないことがわかった途端、いつもの調子に戻って、こっそりと俺にその[最後]の意味と行為を丁寧に教えてくれた。
「なっ!お前...!」
「ふっふーん、純情だなぁもうロイド君は〜」
にやにやと笑うゼロスにムッとして、さっき教えられたとおりに服を脱がせようとゼロスの上着に手をかける。するとゼロスは反射的に俺の手を払いのける。ゼロスから先ほどまでの余裕はきえているようだった。
「!?な、何すんだよいきなり!」
「お、お前がしろっていったんだろ!」
そう言うとゼロスはぐっと言葉を詰まらせ、視線を横へとそらす。その姿が何だか幼く見えて、赤く綺麗な髪にふれる。ぎゅっとくちびるを噛んでこらえている姿が可愛くて、額に触れるだけのキスをする。
それからまたたどたどしく上着を脱がす。ゼロスも覚悟をしたのか腕を脱がしやすい位置まで持ってきてくれて、上着がはらりとベットへ落ちる。
黒い下着の中にそっと手を滑り込ませ、たくしあげる。
「ひぁっ...だーっ!やっぱ無理!」
いきなりのことで驚いたのか、ゼロスは間抜けな声をもらしたあと唐突にギブアップ宣言。先ほどまでのしおらしさはどこへやら。ゼロスは俺を強引に引き剥がすと慌てて服を整えだす。
「いたたたたた...お前、なんか今日変じゃないか?」
「な...!もとはと言えばロイド君がふいうちであんな事するからでしょ!」
「え?俺、何かしたっけ...?」
「...だよな...いや、何でもない...俺が変なだけだ」
深いため息を吐いたゼロスの額にぴたりと俺の額をくっつけてみる。伝わってくる体温は驚くほど高くて、やっぱりそうだ。
「...まさか俺様が風邪引いてるとか思ってないよね?さすがのロイド君でもそれはないよね?」
「え?違うのか?」
「はぁ...ある意味尊敬しちゃうよ俺様」
(まぁそんなロイド君が好きなんだけどね)
(...なーんて心の中で呟いて恥ずかしくなったのはロイド君にはひみつ!)
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