□真っ赤な笑顔
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つまらない
つまらない!
俺はムッと口を尖らせ、目の前で黙々と仕事をするガイを呼んだ。

「ガイ、暇」
「ごめんなルーク、今手が離せなくってさ」

そういうガイの手には、肥料が入った袋が抱えられていた。
…ペールの手伝いらしい。

最近、いつもそうだ。
ガイは俺を放ったらかして別の仕事ばかり。
俺の使用人兼親友兼…こ、恋人なのに!!

「ガーイー」
「後でな」

ムカ。
なんだよその言い方っ
俺はガイに背を向けて走りだした。

しばらく走って、俺の部屋の裏にある木の下にしゃがみこむ。
ここは、死角になっていて見つかりにくいんだ。

「ガイのバカバカバカバカ!俺が暇って言ってんのに仕事ばっかりで……」

口に出して文句を言ったけど、余計にもやもやするだけだ。
…。はぁ

「構って欲しいのに…」

ぽつり、と呟いた本音。
そう、構って欲しいんだ。
最近、一緒にいる時間が少ないから…

「ルーク」
「!!」

ふいに頭を撫でられて、勢いよく顔を上げると、ガイの苦笑した姿があった。

あれ
仕事は

「な、なんで、お前、仕事は?」
「さっきので最後。ごめんな放ったらかして。」

ぎゅ、と抱き締められる。
凄い嬉しいけど、素直になれない俺は、不機嫌な声で

「うるせー」

と言ってしまう。
ガイは笑った。

「すげぇ真っ赤」
「…ガイだって赤い」
「これは日焼け」

日差しの下ペールの手伝いをしていたからか、ガイの鼻の頭や頬は真っ赤だった。
ガイはその真っ赤な顔を近付けてきた。

「ルーク」


キス、される

「んっ」

ぱくっ、と唇を挟まれ、そのままちゅう、と吸われた。
幾日かぶりのキス。
自然と、ガイを掴む力が強くなる。
しばらくキスをして、ようやく離れたガイが、にっこりとわらった。

「ご所望の通り、仕事で構えなかった分構うからな、ルーク」

聞かれてた、というより
ガイのその真っ赤な笑顔に
俺は、多分真っ赤になりながら顔を背けた。



(無駄にかっこいいんだよ!)






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