□繰り下がりはどうも苦手らしい。
1ページ/1ページ



とうに空になったリンゴジュースの紙パックを潰しながら不満げにゼロスが呟く。
「どうして購買にメロンジュースがないんだと思う?」
そのまま放ったパックは見事教室に備え付けのゴミ箱に入った。

「ナイッシュー」
ぱちぱちと自ら拍手をして見せるゼロスをじとりとねめつける。
「教える気ある?」
「教わる気がない、の間違いでしょロイドくん」
下唇を出してあからさまに拗ねてますの顔をしたゼロスを見て、仕方なく伸ばしたままの腕を持ち上げ手の先でくるりとシャーペンを回して見せた。
すると打って変わってゼロスの顔が輝いた。簡単な奴め。そこが可愛かったりするけども。

「すごい!ロイドくんもっかいやって!」
「問七がとけたらいーよ」
「十までいったらやり方ね!」
いそいそと机を隔てた俺の正面へ戻る。
途端にゼロスの顔が険しくなった。

「嘘でしょ。四則演算くらい出来るようになってよ」
「ばか。できるよそんくらい」
こつこつと彼のシャーペンの芯が叩いた藁半紙を見る。問四、ミス発見。
「繰り下がりが出来ないって、いよいよやばいと思う」
「…さすがに俺もそう思う」
教えるのが嫌になるこいつの気持ちもわかるかも知れない。

「でもさ」
「なあに、ロイドくん」
「購買にメロンジュース希望するお前もなかなかキてるよな」
デコピンが飛んできて揺れた視界に、俺は問一にすらミスを見つけるのだ。
ああ、ここも同じ間違いとか。


繰り下がりはどうも苦手らしい。
目の前のこいつは俺が問十を解くまで諦めないとは思うけどさ。






――――――
宇央さん大好きだ…!とてもロイゼロでした!可愛いよ!ほのぼのだらだらロイゼロ可愛いよ!シュチュがおいしいよ!うわぁぁあぁぁぁ本当にありがとうございました!


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ