テイルズ短編
□気付く気持ち
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ひゅっと息をのむ音がした。
数秒後にゴロゴロと大きな音が響いた。
驚いて窓に向けていた視線をスパーダへ戻した。
そこにはさっきまで見えていた顔はなく、丸く膨らんだ布団だけが見えた。
よく見れば、僅かに震えているようだった。
「…スパーダ?」
声をかければビクリ、と大袈裟に震えた。
「…ル、ルカ…その、これは…」
気恥ずかしそうに、ゆっくりと布団から顔を出した。
それでもどこか不安そうに視線をさ迷わせている。
「…スパーダってもしかして、雷苦手なの?」
もぞもぞと動くだけで、返事はなかった。
「そっか、苦手なんだね」
クスクスと笑いを漏らすとスパーダは勢いよく布団から起き上がった。
「に、苦手っつーか嫌い…そう、嫌いなんだよ!う、うるさいし光るしよォ!」
慌てたように言うスパーダに、ルカはまた小さく笑いを漏らした。
「それは肯定してるようなものだよ?」
まだルカが笑っているとスパーダはふて腐れたように「…うるせぇよ」と呟いた。
それが可愛くて、ルカはまた微笑んだ。
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