テイルズ短編
□待ってるのは
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『待ってるから』と一応繋がっています。
エミル達と一緒に旅を始めて今まで野宿が多かったから、漸く宿がとれて皆疲れを癒していた。
勿論俺もその1人な訳で、今もだらだらくつろいでいた。
んっ、とのびをしてベットから起き上がる。
早くに寝たせいか、起きたと思ったらまだ夜だ。
カーテンを引き、窓を開ける。
夜風が気持ちいい。
窓枠に肘をつく。
こうも静かだと、アイツの事ばかり考えてしまう。
「…ロイド…」
最近、この名前を聞き過ぎだと思う。
やれ殺人鬼だ、親の仇だなど。
あるはずがない。
そうだ、アイツがそんな事するはずないに決まってる。
じゃあ、この不安はなんだろう。
「やるはずない」なんて綺麗な言葉を並べても、心の奥底じゃ信じきれてない自分がいる。
「…こんなんじゃあ、駄目だな」
俺が信じてやらなきゃ、誰がアイツを信じてやるんだよ。
こんな気持ちじゃ、アイツの近くにいられない。
視界が歪む。
「…あぁ、もう」
あの時から泣かないって決めたのに。
ぎゅ、と大切に掌の中にある物を握った。
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