テイルズ短編

□Poisson d'avril
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「…なんで?」


きょとん、とロイドは目を丸くした。


「だってあのバカ神子!ロイドにうざったいくらいベタベタベタベタして」

「俺は嬉しいけど」

「周りが甘くて嫌になってくるの!」

「えー…」


ほらさっさと行く!ジーニアスにぐいぐいと背中を押されゼロスのいる台所まで連れていかれる。

3人はさっと見つからないようにドアの隙間から中を伺う。



「ロイドく〜ん。遅いぜぇ。ほらこれ全部運んで」

「おう…じゃなくて!」


いきなり叫んだロイドにゼロスはエプロンを畳む手を止めた。


「ゼ、ゼロス…あの…」

「ロイド」


振り絞ったようなロイドの声をゼロスが遮る。



「大好き」



にっこりと2人きりの時にたまに見せるような甘い笑みで、そう言った。


ロイドは言葉に、中を伺っていた3人はその笑顔に、ぴしりと固まった。


「あんな顔したゼロス初めて見たね」


こそこそと小さな声でコレットが横に話しかける。


「…一応、ゼロスも場所は考えていた訳なんだ」

「…それよりも、ロイドがヤバくないかい?だって今日は嘘をついてもいい日で、『大好き』って…」


コレットが漸く気づいたように声を漏らす。


「…あ…それって大好きじゃない…つまり『大嫌い』って事になっちゃうんじゃ…?」


3人は顔を見合わせ、心配そうに再び中を覗いた。




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