テイルズ短編
□待ってたから
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ベットに倒れ込む。
スプリングが軋む音がした後、開いていた窓から風が吹き込む音が響く。
力が抜けてベットに体が沈んでいく。
「…あー…」
考えが纏まらない。
ぐしゃりと顔にかかった髪をかき上げて目を閉じた。
ロイドが、帰ってきた。
ずっと会いたかった。
話したかった。
でも、皆に囲まれて笑っているロイドを見ると胸が痛くなって、遠く感じて…。
あぁ、目が熱い。
目を閉じたって結局何も変わらないから、開ければ目尻から温かいものが流れた。
ぼんやりと天井の木目を眺める。
コンコン、と扉を叩く音が部屋に響く。
たぶんコレット辺りだろう。
あの子の笑顔を見れば、この胸に渦巻く気持ちも消えるだろうか。
「…どーぞ」
扉の軋む音がした後、赤いモノが視界の端に写った。
(――赤、い…)
「…ロイ、ド…」
「…久しぶり、だな。ゼロス」
低く、男の声になったロイドが微笑んだ。
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