テイルズ短編

□赤いキミとワタシ
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『ずっと探してた』のゼロス視点。そちらから読んだ方がいいかもしれません。
現パロ。
―――――――




毎回夢に見ることがある。

少年と青年との中間のような赤い男の周りには人が集まっていて、皆で笑い合っていた。

俺は、なんとなくその輪には入れなくて、入ってはいけないような気がして、ずっと少し後ろにいるんだ。

それでも毎回、その赤は目敏く俺を見つけて、手をのばそうとする。

その手を使もうと顔を上げた瞬間、視界は真っ白になって、目が覚めてしまう。


今日も、同じだった。




目から溢れる涙を感じて、夢に憎悪を覚えた。

夢、というには語弊があるかもしれない。

いつも夢に出てきては、あと少しのところで見ることも、触れることもできない赤に、だからだ。


「…誰、なんだよ」


こんな気持ちにさせる、あいつは、いったい。






―――−−‐‐


なんとなく、学校へ行く気にはなれなかった。

上辺だけの馴れ合いが嫌いなわけじゃないが、今はそれも煩わしかった。

だからって、なんでこんな何も無い所に居るのかなんて、理解できないけど。

ただ、なんとなく、ここに居れば、俺の求めているものが手に入る気がしたから、だなんて。


見上げた空は青くて、髪の色とも夢の中の赤とも似ても似つかないけど、なぜか苦しくなった。


ふと、時計に目をやるともう昼をとっくに過ぎていた。


(…馬鹿か)


そんな気がしたからって、こんな所に長いこと居ただなんて。

立ち上がって服についた砂を払って息をついたとき、後ろから声が聞こえた。

足音が、近付いてくる。

縛り付けられたみたいに、振り返れないのに、心臓だけはばくばくと音を鳴らしている。



「…――ゼロス」



聞いたことのない筈なのに、耳に馴染む不思議な声。

ふっと、体の拘束が解ける。

振り返れば、俺の求めていた、



「――遅ぇよ、ロイド」



知らない言葉が、自分の口からもするりと出てきて、なぜか笑った。





――END――





―――――
ゼロスもロイドと同じようになんとなく覚えてたんですよっていうこと。


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