テイルズ短編
□君まで6センチ
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「気に入らない」
目の前にはむすりとしたロイドの顔。
こういう表情はよく見るから別にいいけれど、
「…こういう状況で言うのってどうよ」
あとちょっと、あと数センチでキスするくらいの距離でロイドの顔は止まっている。
近い。
腰をがっちり掴まれているから逃げられない。
「…なぁ、ロイドくーん。一応俺様にだって恥ずかしいって思う感情くらいあるんだぜー?それわかってる?」
「…だから何だよ」
「近いってこと!」
ぐいぐいと自分より低い位置にある頭を押すが、頑なに離れようとしないロイドに諦めたようにため息をついた。
「…あーもー…、どうしたんだよ?理由くらい聞くぜ?」
そう言うとロイドはむすりとした顔のまま少し俯く。
「……身長、だよ」
「………はぁ?」
「だから、身長だよ!何でゼロスはそんなに高いんだ!」
つい漏れた脱力したようなの声に、ロイドは少し怒ったような拗ねたような顔をする。
「い、や…だって俺年上だし。ハニーだってそんな低い方じゃないじゃん」
「それでも!ゼロスより低いのは気に入らない!」
自分を否定するような言葉を噛み付くように言われ、少し苛立つ。
「気に入らないってなんだよ!そんなにこの身長が嫌か!」
「だってキスする時に背伸びしなきゃいけないんだぜ!?」
また脱力。
「……そんなことかよ…」
「全然そんなことじゃないって!重要な問題!」
今までそんなことを考えた事がなかった。
またため息をついて横にあったベットに座る。
いつの間にか腰の拘束は解けていた。
「じゃあ俺様が屈んであげよっか?」
「それはさらに嫌だ。今よりもっと屈辱的」
「…酷い」
じゃあどうすっかなー、と考えていると、ロイドが閃いたように「あっ」と声を漏らした。
「なぁにロイドくん。なんかいい案が――…」
目の前にはロイドの顔。
あ、デジャヴ。
軽いリップ音とともにゼロ距離から少し顔が離される。
「…いい案があったんじゃないのかよ」
「いい案だ」
「はぁ?何が?」
近いロイドの顔を見上げる。
「…あ」
「これなら、一石二鳥だ」
そう言って、ロイドは俺をベットに押し倒す。
確かに、俺が座ってロイドが立ってたらロイドの方が背が高くなるだろうな、とか、一石二鳥なんて言葉知ってたんだ、とかいろいろ考えながら、そのまま目を閉じた。
――END――
――――――
絵でロイドとゼロスの身長差のを描いたときからずっと書きたかったもの。最後こんなんになるとは考えてなかったけど。ロイドの言った一石二鳥とは、自分の悩みも解決するしそのままゼロス押し倒してきゃっきゃうふふできるからです。
きっと続き書きます。書きたいです。