テイルズ短編

□君を見ている事が辛い
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「はぅ〜、もう食べられない〜」

「アニスは食べ過ぎよ」


ルーク達は野宿をしていた。

今、食事が終わった所だ。


「…皆、今日は疲れただろ?片付けは俺がやるから先に寝ててくれ」

「え、でも…」

「ティーアっ、ルークが気を使ってくれたんだよ。そういう気遣いは有り難く貰っとかないとぉ」

「…そう、ね。お願いね、ルーク」

「火の扱いには気をつけて下さいね」


そう言ってアニスやティア達はテントへと消えた。

残ったのはルークとイオンだけであった。

ルークは黙々と食事の後片付けをし、その近くにイオンが座っている状態だ。


「…イオンもテントに戻ったらどうだ?今日は肌寒いし」


終始無言だった二人であったが、先にルークが話しかけた。


「ぁ…いえ、僕はもう少し…」


(貴方の傍にいたい…)


「そか…」


そこで会話は終わり、再び沈黙がその場を流れた。




(…本当に、変わりましたね…)




前は自分から仕事なんてしなかった。


いや、それが普通の筈だった。


本当ならルークは僕と共に守られる立場の筈だった。


周りがルークに強いただけ。


だから貴方は髪を切って変わった。



この変化はいい事なのかもしれない。



でも、自分の気持ちは押し込めないで下さい。



本当は人を殺すのなんて嫌な筈です。



でも貴方は仲間が傷つかないように自分の手を汚していく。




僕は、なんて無力なのでしょう。




そっと、壊れ物を扱うようにルークを抱きしめる。



「イオン…?どうした?」



僕は無力だから、


一人で前を歩く貴方を止める事も出来ない。


貴方をただ抱きしめる事しか出来ない。



「…ルーク、貴方は一人ではありません…」

「…変なイオン」



そう言って貴方は笑います。


でも、その笑みが僕には作り物にしか見えないのです。


ルーク――…




――END――




(貴方の自然な笑顔をもう一度見たいのです…)
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