ABYSS長編
□3話
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生暖かい、空気。
「…ティア、ここがどこか解りますか?」
ルークは甲板に倒れていたようだった。
周りの仲間達はもう話し合っていて、唯一ガイが近くにいるだけだ。
「…えぇ、ここは魔界(クリフォト)と呼ばれる場所…。恐らくアグゼリュスから落ちてきたようです」
「えぇ〜!?何で落ちてきちゃったの〜?」
「…多分…」
ティアはルークを一瞥してから言った。
「…ルークが兄に言われ、アグゼリュスにあったパッセージリングを壊してしまったから、アグゼリュスは崩落してしまったんだと思うわ…」
一同はその言葉に驚き固まった。
ジェイドだけは無言で眼鏡を掛け直す。
「ルーク…!ティアの言った事は…本当なのか…!?」
ガイがルークに向かって言う。
ルークはゆっくりと体を起こす。
「……」
返事はない。
ガイは訝しんだようにルークを見たが、瞳がどこか虚ろで曇っているような感じがしただけだった。
「…ルーク?」
呼びかけても、やはり返事はない。
ルークは一点を見ている訳ではなく、視線をうろうろとさ迷わせている。
その様子にジェイドがため息をついた。
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