ABYSS長編

□4話
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ガイは眠ったルークを背負い、止まったタルタロスから下りる。

そこにはアッシュがいた。


「…何故屑は背負われている」


アッシュの質問にはジェイドが答えた。


「ルークが眠ってしまったようでしたので」


アッシュはその言葉に眉をひそめた。


「…そいつはアグゼリュスを崩落させたんだぞ。何でそんな奴を…」

「…アグゼリュスのことについては、ルークが起きたら聞きます」

「…レプリカのくせに」


それは呟きだったが、たしかに全員に聞こえた。

ガイの隣に居たジェイドから、やはり、と呟きが聞こえた。


「…レプリカとは、何だ…?」


一同の代表のようにガイがアッシュに聞く。


「そいつはフォミクリーによって造られた、俺のレプリカ…完全同位体だ」

「つまり…」

「…同じ人間といっても過言じゃありませんね」


ジェイドが言いきる。

皆、何も言うことができない。


「あんな屑と同じにすんじゃねぇ」


アッシュはそういうと1人ユリアシティへと入って行った。



「…とにかく、今はルークを横にさせないと」


ティアは拳を握りしめ、冷静を装って言う。

その言葉に仲間達は返事をし、皆もユリアシティへ入って行った。

ガイもルークを抱え直し、歩き出す。



「…ジェイド」

「…なんでしょう」


前を歩いていたジェイドに声をかける。

ジェイドは振り向かないまま返事をした。


「お前、ルークについて何か知っているだろう」


くすり、とジェイドの笑う声がした。


「疑問形ではなく断定形、ですか?」

「知っているだろう」


漸く、ジェイドは振り向きガイを見る。


「…えぇ、ルークを、というよりレプリカについて、ですかね」


ガイは喋らないのまま、ジェイドを見つめる。

ジェイドも何も話さない。

お互い無言のままだ。


やがて、ジェイドが諦めたようにため息をついた。


「…わかりました。ルークの目が覚めたら、話します」


当たり前だ、と答えてガイは歩き始めた。


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