テイルズ
□これから日課になる予定
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ルークの身の回りの世話、これがガイの仕事である。
朝起こして、身支度を整える。
ルークは寝起きでもたつくので、朝食に遅れないようになるべく手短にしたい。
服を着替えると、部屋の外へ出ようとしたルークをガイは引き止めた。
「んだよ、ガイ。朝食に遅れるじゃねぇかよ」
「大丈夫だ。早く起こしたからまだ時間がある」
「はぁ!?時間があるなら寝かせろよ!」
声をあらげるルークを窘めつつ、ガイはルークを部屋の真ん中の方へ促した。
「お前いつも着替えるとさっさっと部屋を出ていっちまうだろ?いつも気になってたんだよ」
「何が」
ガイの手がルークの髪を持ち上げる。
反対の手には、櫛。
「髪だよ、髪。とかさないで行ってるだろ」
「い、いい!んなの自分でできるっつーの!」
暴れるルークを抑え、少し無理矢理椅子に座らせる。
櫛で髪をとかし始めると、諦めたのか抵抗はせずに黙ってふて腐れたような顔をした。
「そんな顔するなって、すぐ終わるからさ」
「…うっせー、なら口じゃなくて手を動かせ」
ガイは苦笑いをして髪をすくことに潜熱をする。
枝毛も無く、男にしては艶やかな髪である。
「なぁ、なんでルークは髪を伸ばしてるんだ?」
顔を覗き込もうとすればそっぽを向かれた。
「…別に、理由なんてねぇよ」
「そうなのか?」
つい手を止めたガイをルークはじとりと見つめたが、それでも動きを再開させないガイにルークは言い訳じみた言葉を吐いた。
「父上も伯父上も長いじゃん」
「ルークほど長くないだろ」
「でも本当に理由ねぇし。つーか暑いんだよなぁ。いっそ切るか」
ルークが髪をかき上げるて怠そうに答えると、今度はガイが声をあらげた。
「そんな勿体ない!切るなよ、ルーク」
ルークはそんなガイをきょとりと見たかと思えば、少し意地悪そうに笑った。
悪戯を考えたときと同じ顔だ、と思ったがガイは何も言わなかった。
「じゃあ、それが理由だ」
「え?」
「髪伸ばす理由、ガイにする」
したり顔で笑ったルークにガイは驚いたようにルークを覗き込んだ。
「いいのか?そんなことで」
1度言い出したことはなかなか覆さないとわかっていながら、ガイは信じられずに声をかけた。
「いいんだっつーの!もう決めたんだよ!」
まだ意地悪そうに笑うルークに、ガイは手を動かすのを再開させた。
「なら、尚更髪は大切にしてもらわないとな」
どうしてだ、と目を向けるルークにガイは顔を近づける。
「お前の髪、好きだからさ」
「な…っ!」
最後に笑ってやれば、ルークは耳まで赤くなり、椅子を立ったかと思うと「ガイの馬鹿野郎!」と叫んで部屋を出て行ってしまった。
残ったのはガイだけだ。
「でも、まぁ、もうすぐ朝食の時間だし、いいか」
そう1人呟いて、満足げに笑った。
――END――