テイルズ 

□零れて滲んで消えないで
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鈍い音を立てて刃と刃がぶつかり合う。

自分は1本で相手は2本だが、力負けするつもりは無い。


「ほら、本気出さねぇと死んじまうぜ?」


相手がぐっと唇を噛み締めたのを見て口角が上がる。

そのまま殺してくれればいいのに、と。


「なんでだよ…!ゼロス!」


その言葉には何も返さないで剣を振り下ろす。

それはあっけなくも防がれたが、弾かれただけで反撃はして来なかった。

彼は、優しい。


「優しいから、俺みたいな奴に付け込まれるんだよ」


放たれた言葉は相手に届かなかったようで、言葉は何も返ってこなかった。

それでも、真っ直ぐ相手を見つめると切り掛かった。

が、またもそれは弾かれ、今度は反撃を受ける。

胸から腹にかけて裂かれた傷を見て、そこで初めて満足そうに笑った。

回復などしない。


「だからさ、このまま俺を殺してくれよ」


手を広げて、傷を庇うことなく、笑って相手を見る。


「なぁ、ロイド」


その絶望を消さないで。

一生消えることのない傷のように、深く、深く跡を残して。

そして、忘れないで。


(どうか貴方の中に、俺が居続けますように)


歪んだ、悲しい形でも構わないから。


(俺が世界に居たという証に)







――END――







―――――
死ねばいつまでも人の心に残ると、死なせてしまった人は死んだ人を忘れることなんて出来ないと思っているゼロスくんください。
生きていつか離れるよりも、死んでその人の心にずっと居たい歪んだゼロスくんください。


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