テイルズ 

□ジュイバ
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「イバルの笑顔が見たい」


イバルがミラの社を掃除しているとそれを見ていたジュードが突然そう言った。


「…は?」


イバルの返事にいつものような勢いは無く、ぽかんとした顔をした。

しかしすぐジュードの言葉を理解したのか、顔を赤くして言い返そうと口を開いた。


「何を」

「自信満々な笑顔とかさ、不敵な笑みとかさ、そういうののことを言ったんじゃないんだ」


「もちろん、そんな笑顔も好きだけどね」と付け加えたかと思うとジュードは少し寂しそうに笑う。

そんなジュードを見てイバルは言い返す言葉を失い、ハタキをかける手を止めた。

イバルはジュードから目を逸らす。

自分の笑顔はジュードの思う笑顔では無いと言われたが、イバルにはどうすることも出来ないことのように思われた。

そもそも思うように笑えたらもうとっくに笑っていると考えてイバルは苦い顔をした。


「ご、ごめんね、イバル。別に困らせたい訳じゃないんだ」

「別に困ってなどいない、が…」


イバルは言葉を切り、ジュードの横に立つ。

驚いた顔をしたジュードにイバルは目を合わせることはせず鼻を鳴らした。


「今、貴様の言う顔など出来ない」

「…うん」

「だが、横に居ることは出来る。…だから、いつかそんな表情が出来るまで、横に居てやる」


その言葉にジュードは顔を上げイバルを見る。

イバルはやはりジュードの方を向いてはいなかったが、耳が赤く染まっていることに気がつき、ジュードは笑みを零した。


「…うん、じゃあ待つことにするよ。いつまでも」


相変わらずイバルはそっぽを向いたまま、また鼻を鳴らした。





――END――



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