蛇と炎騎士
□ACTー02
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「…暇だねぇ」
「ああ、暇だな」
傭兵団CROSS本部。
その門の前で、二人の男が暇を持て余していた。
先に暇と言った男、レム・ティンブル。
もう一人の男は、リット・グランデ。
レムは、リットの反応の薄さに溜め息を吐きつつも、何故か楽しそうに壁に寄り掛かった。
「ライナスが出てから30分くらいかな。ねぇ、賭でもしよっか」
「なん」
「暇だから」
「…最後まで言わせろよ」
「内容はねぇ…そうだなぁ。ライナスが帰ってくる時間かな」
「聞いてねえし」
リットは半ば呆れながらも、諦めたように黙ってレムの話を聞く体勢を取った。
満足そうに笑いながらレムは続ける。
「今から5分間の間に帰って来たら僕の勝ちで、それ以降だったらリットの勝ち」
「俺に選択権は無いのか?」
「残念、有りません!負けた方は買った方に一万ノースね」
「高っ」
「良いじゃないの、条件僕の方が不利だし」
「まあ…」
正直この賭、リットは負ける気がしていなかった。
レムにしては珍しく無謀な賭だな、と思いながらも、レムから貰う一万ノースの使い道を考えている時、その音は聞こえた。
だんだんと近づいてくる、荷馬車のような音。
…と、ギルディスの叫び声。
「マジかよ…」
「毎度ー。って、こんな話してる場合じゃなさそうだね」
「っ…ああ!このままじゃ門が壊される」
勢い良く走ってくるルヴァロに、レムは恐れることなくその前に立ち、手を翳す。
リットはその後ろで手を地面に当て、前を見据える。
レムの手から突風が吹き、リットはルヴァロの走る地面を軟らかい砂地へと変える。
勢いが徐々に弱まったルヴァロは、丁度レムの目の前で止まった。
「おかえり」
げっそりとするギルディスに、レムはにこやかに言った。