蛇と炎騎士
□ACTー02
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自室でマリッジブルーへの料金を確認していたライナスは、扉をノックする音に顔を上げた。
「はい」
「シアです」
「ああ、どうぞ」
失礼します、と微笑みながら部屋に入るのは、銀糸のような滑らかな髪を綺麗に結い纏めた、ギルディスの姉、シア・フラッグ。
「あの子、目を覚ましました」
「…分かりました。すぐに行きます」
ACTー02 災い
衰弱した少年に当てがわれた部屋へ入ると、少年はぼんやりとした瞳で俺を見た。
「…気分はどうだい?」
「………」
「何を言っても無反応なんです」
シアさんが小さく溜め息を吐くと、少年はビクリと肩を揺らした。
「…そうか」
俺はカタカタと震える少年の目の前まで行き、そっとその小さい体を抱き締めた。
背中を優しく叩くと、やがて少年の震えは治まり、僅かな嗚咽が漏れる。
「あまり良い思いをしなかったんだな…。もう大丈夫…。大丈夫だから」
「…、…ぅ」