小説

□首
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とある日の事。
ここは湖。
女の人が水浴びをしていました。
何を思ったのかその女は自分の垢を擦り始めました。
擦ってはこね。擦ってはこね…。
みるみる内に垢は大きくなり、段々人の形になって行きました。
その女は自分の垢で息子を作ったのでした。女はその男に言いました。
「今日から貴方は私の息子です。私が水浴びをしている間、あなたはあそこへ行って見張りをしていて下さい」と、湖の端辺りを指差し言いました。
息子は頷き、言われた通りにしました。

少し経った後、何も知らずに夫が帰って来ました。
湖に行ってみると知らない男が居るのに気付き、直ぐに近付き有無を言わさずその男の首を手刀で薙ぎました。妻は、異変に気付き、慌ててその場へ行って見ると息子の頭がありません。すぐそばには顔を真っ赤にして息を切らしている夫がいます。
「この男は誰だ!何故お前の所に居るのだ!」
「この人は私の息子です!先程私の垢で作りました。なんて事をするのですか!早く首を戻して下さいっ!」
夫は怒っていたが、その男が自分の息子とは知らなかった為に大層焦り慌てて首を探しました。
何処を探しても見付かりません。妻の視線が恐ろしい…。
息子は突っ立ったままだった…。
夫はかなり焦り、焦った挙げ句。そこら辺にいた象の首を薙いで、慌ててその首を息子の上に乗せました。
「これで大丈夫だ…」
「……」

それ以降息子の頭は象の頭になっているのでした…。

おわり
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