メガテン

□造魔スノーマン【後編】
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カロンは熟読していた。
ここはそう、多分夢の中。でもカロンは把握していた。
ここが物語の世界だと。何故ならここにジャックフロストがいたからだ。
でもどこと無く様子がおかしかった。
カロンは本を閉じ彼に話しかけてみることにした。
すると彼もそれに応えた。
どうやら彼は大事なものを無くしてしまったらしかった。
「サックスなんだけど、知らない?」
カロンは暫し考えた。言われてみればそんなものを見た気がする。
おー、思い出したぁ!
「サックスなら雪だるまの人形が持っとったぞ?」
「雪だるまの人形?確かに俺も雪だるまに違いないけど人形じゃ無いしな、俺みたいな奴がどこかに居るのか?」
はて?ジャックフロストの一人称は【おいら】だったはずじゃが…。
流石のカロンじいさんもこのジャックフロストに違和感を感じ始めていた。
カロンは三度考える…………。
…………そうか!!
「貴様、じゃあくフロストじゃな!」
突然勢い良く指を刺されジャックフロストは尻餅を付いた。
「じゃ、じゃあくふ、フロスト????」
「貴様のこの姿は偽者じゃ!鏡を見てみい、全く違うはずじゃぞ!……さあ、化けの皮を剥ぎ極悪姿を曝すのじゃ!」
カロン、等身大の鏡を懐から出す。
カロン、ジャックフロストのほっぺを引っ張る。
「いたたたた」
「さあ、早く真の姿を見せるが良い!」
「いたいいたいから、いたいわあ!」
どんっと突っぱねながらも鏡で自身の姿をちらと見る。
「ぐふぅお!」
大理石の床にしたたかに身体を打ち付けるカロンを尻目にジャックフロストはこんなことを思っていた。
そういや俺、自分の姿を生まれてこの方見ていなかったっけ。
いや、でもこんなんだったかな?
確かマフラーが付いてたはず…。はれ?青い三角形が横に連なって輪っかになったようなものを首もとに付けてるぞ?
ブーツ、帽子……二つもトンガリ付いてたっけかなぁ帽子。
大理石の床には赤い染みが……!?
「ハッ!じいさん大丈夫か!?――って居ない」
「ほえわしはここじゃぞ」
では、この血はなんの血だろう?
「そうだじいさん!確かにこの姿は偽者かもしれないんだ」
「そうじゃろうそうじゃろう、じゃから真の悪の姿に戻ってみい」
「出来ないよ。俺、雪の中に埋まっててそのあと掘り返されたらしく、気づいたらサックス持ってなくて、途方に暮れていつの間にか神殿のようなとこまで歩いてたらじいさんにあったんだから」
神殿、どこかとある国の神話に出てくるようなここは白一色で神聖な空気に包まれていた。
空は曇っていて冬の中セミが鳴いていた。
「心配ご無用だ」
カロンは等身大の鏡を懐へ収めた。
「じゃあくフロストはそんなに柔じゃない」
「だからじゃあくフロストってなんなんだよ!」

(※じゃあくフロスト、ジャックフロストが極悪になった悪魔。妖精から魔王に昇格。
肌の色は紫、目の色と口の中の色は赤、帽子やブーツなどの着けているものは黒と全体的にダークな仕上がりになり体の面積はジャックフロスト百匹分の大きさだ!※面積は公式上の設定ではありません。
ちなみにメギドが使えるぞ★)
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