メガテン

□堕天使ウコバク
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生きた木がしくしく泣く。
そんな奇妙な木があるとすればそこは地獄に違いない、そしてオレはこの木の枝に乗っかってるのだから。
「お願いだから降りておくれ、私の腕が折れてしまう」
そうもちろん木はしゃべる、オレは素直に地に降りた、ストンとな。
そして、
乾いた砂塵が舞い上がり、朝なのか夜なのかも分からない黒の空に向かってく。そこに丁度何もないまっさらな地を眺める者がいた。
大きな鳥の翼を持つ人形【ヒトガタ】の者、天使だった。否違う、その一ランク上の大天使、名はウリエル。
ふと視線を反らす、五千メートル先には二匹の黒い点。
バカにしている様でそうでは無く、だからと言って哀れんでいる様にも見えなかったそんな視線。

「堕天使か、慣れと言うのものは恐ろしい。こんな廃れたところに居ては、私の心も廃れてしまう。ああ、いやだいやだ」
そう言うとウリエルは内から何かを取りだしふっと空に蒔いた。
ここに光と言うものがあればキラキラと反射しているだろう、そしてそのいう通り黒い堕天使が常に愛用している松明の火の光に照らされて何かキラリと光るものが一瞬だけ見えた。
「種だ」
これはそれらの一部、その殆んどはウリエルが先程眺めていたまっさらな地に向かい、ゆっくりと降りていった。
早送りでも見ているかの如く瞬く間に芽が出て木が生えた。これがウリエルの日課だった、「昨日は三千、今日は五千、種蒔きの次は焔の拷問それは三千、五千どころじゃない。
私も慣れてしまったな。…やれやれ」



やれやれと言いたいのはこっちのほうだ、ずーーっと昔のオレの(間接的な)戦友が彼方へと飛んで行くなかオレは相棒に手を焼いていた。
ったくいつまで木にぶら下がっているんだよ。
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