小説

□灰原の気持ち【名探偵コナン】
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キンコーンカンコーン!キンコンカンコーン!

「起立!礼!先生、さようなら!」
「さようなら!」
ここは、江戸川コナン達、少年探偵団が通う小学校。
ホームルームも終了し、クラスメートは、帰宅する者、残って掃除する者など、皆、散り散りに行動していた。

「ふぃ〜!やっと、学校が終わったよ!さ!早く帰って、仮面ヤイバーでも見ようぜ!」
そう言って、元太はみんなと帰ろうとしていたが、コナンが制した。
「元太!その前に、今日は、掃除当番だろ?」
「そうですよ!元太君!今日、遅刻した罰なんですから、ちゃんとしないと!」
そう、この日は元太が寝坊した為、少年探偵団全員が遅刻したのだ。
「そうだった!あ〜、何でこんな日に遅刻したんだろ…」
「さ!早くしないと、仮面ヤイバーが終わってしまうぞ!みんなで協力して早く終わらそう!」
「おぉ!」
「コナン君て、やっぱり頼りになるなぁ!」
「…」
コナンの一言で、みんなが一致団結してる中、一人、灰原だけは、冷めた目で見つめていた。


「よし!何とか掃除も終わったし、今から帰れば、仮面ヤイバーには間に合いそうだぞ!」
「うん!早く帰ろー!」
時間は、仮面ヤイバーが始まる30分前。今から帰れば、十分、間に合う時間だ。
「歩ちゃん、ちょっと今から少し時間いい?」
灰原が、帰り支度をしている歩に声をかけた。
「え?今から帰って、仮面ヤイバーを観ないと…!」
「今日の五時間目の体育の最後の後片付けで注意された事があるから、手伝ってくれるかしら?」
「え?…何かあったかな?いいけど。」
歩は、注意される様な片付けをしたか困惑しながらも、灰原と一緒に体育倉庫に向かった。
「灰原…(体育の時の後片付けで注意?そんなのあったか?)」


ガラガラガラ…
「えっと、電気はっと。あ!あった!」
カチッ
「ねぇ、灰原さん。先生に注意された所ってどこ?」
「その、バスケットボールが置いてある棚だよ。」
体育倉庫の一番奥に、バスケットボールが棚ごとに並べられているのだが、綺麗に並べられており、特に注意される様な所は無い様だった。
「これ?う〜ん、別に注意される様な所は無いような気がするよ?」
そう言い、振り向いた先の灰原は、何か様子が違っていた。
「灰原さん?」
「歩ちゃん、コナン君の事、好き?」
灰原からの唐突過ぎる質問に、歩はドキッとした。
「え?き、急に何を言うの?」
「ねぇ?どうなの?」
どこか、妖しい雰囲気を漂わせながら、にじり寄る灰原。
歩は、その圧迫感に、恐怖を感じていた。
「どうしたの?灰原さん。何か、怖いよ…」
「そう…コナン君の事、好きなんだ?でも、コナン君は、あなたに振り向くかしら。」
詰め寄る灰原から、意味深な言葉。
「え?どう言う事?」
「実は、コナン君はね…」
そう言いかけた時、体育倉庫の扉が勢いよく開いた!
「灰原!!」
「コナン君!」
歩から、安堵の笑顔がこぼれる。
「もう!良い所だったのに…」
「灰原!今、何をしようとしてたんだ?」
「ちょっと、相談事をね♪」
「相談事?何の相談だ?」
「あら、可愛い少女の相談だから、あなたには関係ないわよ?」
クスッと笑う灰原。
「…っ!とにかく、もう、とっくに下校時間を過ぎてるぞ!」
「あら、もうそんな時間なのね。歩ちゃん、この話の続きは、いつかまたね。」
そう言い、歩から離れ、コナンの横をすれ違う際、注意して聞かないと聞き取れない程、小さな声で一言
「…バカ…」
そう告げた灰原には、一筋の涙が。
「!!」
コナンは、横を去っていく灰原に瞬時に振り返った!
「灰原…おまえ…」
「どうしたの?コナン君?」
「え?いや、何でもない。」
平静を装いつつもコナンは、灰原が去った体育倉庫の扉を、じっと見つめていた…
 

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