小説

□ダブルデート【逆転裁判】
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「冥ちゃん!おはよー!」
「む…、綾里真宵。なぜ、貴様が。そして、成歩堂龍一。なぜ、貴様がここに居る!」
「実は、御剣から…」
と、言いかけた言葉に、真宵ちゃんが言葉を被せる。
「実は、私となるほど君で、デートの約束をしてたんだけど、御剣さんも、冥ちゃんとここで待ち合わせと聞いたから、一緒に来たんだ!」
「そうなのか?御剣怜二?」
「む…、あ、あぁ」
「…そうか、なら仕方が無いな。」
そう言った冥ちゃんの顔が曇ったのは、気のせいだろうか?
「さ!早く行こうよ!なるほど君!御剣さん達も!」
僕の心配をよそに、上機嫌な真宵ちゃん…ますます不安だ…

遊園地に入ると、あれやこれやと引っ張る真宵ちゃん。
それに付いていく感じの僕と御剣と冥ちゃん。
うーん、やはり、真宵ちゃんは、遊園地を楽しんでるだけじゃないだろうか?

「なるほど君、次、アレに乗ろう!」
「真宵ちゃん、このデートの目的わかってる?」
「わかってるよ?御剣さんのデートのサポートでしょ?」
「だったら、もっとサポートらしくしないと!これじゃあ、僕達がただ遊んでるだけじゃないか!」
「大丈夫だよ!あの二人は。何だかんだ言って、通じ合ってる部分あるし。」
自信満々にそう言う真宵ちゃん。でも、僕にはいまいちピンと来なかった。
「わかったよ。なるほど君!じゃあ、私の自信、証明してあげるから!」
「え?」
そう言って、真宵ちゃんは、御剣達の元に駆け寄って言った。
「御剣さん、次は、みんなでアレに乗りましょ!」
そう言って真宵ちゃんが指差した乗り物は、横一列に並んだシートに座り、それが、上まで上がっていき、頂点に達すると、一気に落ちる乗り物だった。
「ほぅ…面白そうではないか!」
そう言う冥ちゃん、こう言う、スリルがある乗り物は大好きなんだろう。
御剣はどうなんだろうと気になり見てみると、強張った表情を浮かべ、青ざめていた。

「どうした!御剣!そんなに青ざめて…」
「むぅ…落下…」
「落下?…あっ!」
そう言えば、昔、幼少の頃、御剣は、ある事件に巻き込まれ、エレベーターや地震にトラウマがあるんだった!もしかしたら、この乗り物にも…

「さ!行くよ!なるほど君!」
気にも留めない様子で、さっさと行く真宵ちゃん。
「ちょっ!待って!真宵ちゃん!」
必死に止めようとする成歩堂。
「私は、情け無いなぁ。成歩堂。こんな乗り物一つ乗れないとは…」
「御剣…」
過去のトラウマとは言え、遊園地の乗り物一つ乗れない自分を御剣は、悔いていた。
そんな御剣を見かねて、冥は叫んだ!
「本当に情け無いな!御剣怜二!こんな物も乗れないとは!」
「な!御剣は、過去のトラウマで!」
「過去は、過去だろう?昔に囚われおって!そんな男が、私の前を歩いていたて思うと、腹立たしいわ!」
「冥…」
「私の前を歩く男は、嫌みなぐらい自信たっぷりでプライドがあって、そして、常に私の先を歩いてる男だ!そうでなければ、私は、誰に憧れ、誰を目標に歩いて行けばいいのだ!」
そう言った冥の目には、涙が滲んでいた。

「冥ちゃん…」
そんな冥の姿を目の当たりにし、御剣は、その思いに応える為、立ち上がった!
「フッ、そうだな。情け無い。だが、そんな私でも、憧れ、追いかけてくれる者が居るなら、私は、それに応えなければ行けないな。」
「御剣…」
「大丈夫だ。冥。私は、過去を克服してみせる!だから、私の後を付いてきてくれるか?」
そう言い、御剣は、冥の頭を撫でた。
「バカ!いつも、私の前を歩けると思うな…!」
「フッ」
「なるほど君、まだ〜?」
乗り物の入り口に隠れて一部始終を見ていた真宵ちゃんは嬉ながらも、少し、意地悪っぽく言った。
「今、行くよ!」
そう言い、御剣と冥に駆け寄る成歩堂。
「御剣、行こうか!」
「あぁ、行くぞ、冥。」
「うん。」
涙を拭いながら、冥は、かすかに微笑んだ。
………
……

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