短編用

□アリウム(無限の悲しみ)
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【アリウム:無限の悲しみ】




―あぁ…何故私は皆と違うのですか…―




―神よ…何故私なのですか?…―





―私は皆と同じがよかったのです…―





―私の愛した人は歳をとり冥界に旅立ってゆくのを私は見送るしかできなかった…―





―あぁ、なんて悲しいのでしょう…見送る事はできたのに―





―見送ってもらうことができないなんて―











【森の外にある町】


…おや、旅人さんかな?…



…ほぉ…そんな遠くの国から来たのかい?なに?ワシが答えられる事ならかまわないが?…





…!…旅人さんはあの城を目指していたとな?やめた方がいいぞ…





…そこまで頼むなら仕方ない…あの黒く見える森があるだろう?あそこがその城じゃ…




…ヴェリアル地方であの森は“不老不死”の魔女が住む城だ…気を付けていきなさい…





村人と旅人の会話を聞いていた一羽のカラスは魔女の住む城へと真っ直ぐ飛んでいきました。









≪レイラサマ!ニンゲンガマタモリ二ハイッテキマス!≫




『そう…また来たのね…』






暗い部屋の奥に長い黒髪に美しい碧眼の女性がいる、見た目は17~18歳くらいの若い娘。




『また化け物って言われるのかしら…』





≪レイラサマ…≫



『大丈夫よ…私にはアナタがいるもの…』



カラスは心配そうに女性の顔を見ていた、そんなカラスの頭を女性は優しい手つきで撫でると気持ちよさそうに目を細めた。







…とある昔話をしましょう…



1000年も昔から歳をとらずに城に住む女性が居ました…




女性はかつてこの森周辺を治めていた王の娘…この国の王女様でした。




王女様はとても美しい娘で大陸一の美姫(びき)でありました。




そんな王女様には婚約者が居ました、隣の国の王子様です。




王子様とお姫様はとても愛し合っていて両国からも盛大に祝福されていました。




結婚式には大勢の人々が集まり、王子様と王女様嬉しそうにほほ笑んでおりましたが…




そんな幸せそうな2人に嫉妬した魔女が王女様に呪いをかけました…不老不死の呪いを…




王女様は何年経っても若い姿のままでした、周りの者たちは気味悪がり国を出て行きました。




最後まで居てくれたのは、お年を召された王子様だけ。




王子様は死ぬその瞬間まで王女様を愛していました。




王子様は亡くなり王女様は使いのカラスと2人きりになってしまった。




それから月日がたち、お城は不老不死の魔女が住む魔城と呼ばれるようになったのです。









さぁ…旅人さん…ココは不老不死の魔女が住む森よ…




…ねぇ…あなたは私を愛してくれる?先にいけないけど、あなたの最後はちゃんと見送るわ…









END

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