短編用

□マリーゴールド(不安と嫉妬)
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私と新二が付き合って1年がたった…




きっかけは新二からの告白だった、新二は顔も良く明るい性格なため女子にはモテるのだが何故そんな彼が可愛くもない私に告白してきたのかが不思議でしょうがない。




「玲奈!帰ろう!」




『うん!』





最初は女子から嫉妬した目で見られてきたけど、最近ではそれもなく皆普通に接してくれている。




2年生の時は別のクラスだったのだが3年生に進級した時にクラス替えで同じクラスになれた。




今までは新二が私の居るクラスに迎えに来て一緒に手をつないで帰っていたのだが、同じクラスになったので教室から一緒に出ていく、途中でクラスメイトに挨拶をしていつもの道を歩いた。




その日常がとても幸せだった。





次の日、教室に誰のでもない机が1つ増えた。




『転校生でも来るのかな?』




「たぶんな〜どんな奴が来るか楽しみだな玲奈!」




『うん!でも女の子はちょっとね…』




「なんで?」





私の答えに新二は不思議そうな顔で私を見下ろしてきて、ただ「新二がその子を好きになったら困るから」と言えば嬉しそうな顔で抱きしめられ周りからはからかわれた。





そんなこんなでHRになって担任が教室にくると転校生の事を言って先生が呼ぶと転校生の子が入ってきた。





「はじめましてぇ〜!愛沢 優梨愛(あいざわ ゆりあ)っていいますぅ〜…よろしくねぇ〜」






転校生はピンク色の長い髪の毛と同色の瞳をした顔だけは可愛い女の子でした。



でも、うちの学校は化粧や髪の毛を染めるのは校則違反なのだが、ピンクの髪の毛と同じ瞳…教師が何も言わないとなれば地毛に裸眼なのであろうが普通そんな色をした人間なんているのだろうか…答えは【不】である。




彼女は何故か新二の顔を見た瞬間【ニンマリ】とした笑みを浮かべた。




「ねぇ〜新二くぅん!優梨愛に学校案内してくれないかなぁ〜?」




休み時間になり、新二が私の席に居ると転校生の愛沢さんが新二の腕に抱き着いて甘えた声でお願いしてきた。



「悪るいけど、他に当たってくれねぇ?」




「えぇ〜優梨愛は新二くぅんがいいのぉ〜!」




だだをこねる子供の様に愛沢さんは新二の腕を自分の大きな胸に挟んでアピールしていた。





「悪いけど、オレ玲奈とゆっくり話したいし隣の席の山田にでも頼んでくれねぇ?」




それでも新二は私をとってくれた、その時の愛沢さんは嫉妬の目で私を睨んできたが無視した。




放課後になっても愛沢さんは一緒に帰ろうとだだをこねて新二を私から取ろうしているのだが。




『しつこい子…』





転校生の愛沢さんが転校してきて少し日にちがたったが愛沢さんは毎日アタックをしてきているため、新二とろくに恋人らしい会話ができないでいる。




不安じゃないと言ったら嘘になるし嫉妬しないわけない、無駄にアピールしてくる愛沢さんに新二がとられないかと心配になってきた。





『はぁ…新二…』




「なに?玲奈」





『!?…新二!愛沢さんは?』



嫉妬で喧嘩とかしたくないから屋上で憂鬱な気分を変える為に空を見上げていると新二がいつの間にか隣に座っていた。




「みんなに手伝ってもらって愛沢を足止めしてもらってる」




いつもの明るい笑顔で言われ私も笑顔になれた。



それから1時間だけ授業をサボリ新二と2人きりでいろんな話をし、日曜にはデートをすることにした。




それから最後の授業を受けてクラスの女子と少しお話していると愛沢さんが怖い顔で私達の前に立った。




「ねぇ〜冬海さん新二くんの弱み握って脅して付き合っているんじゃないのぉ?」




『なに言っているの?』





睨みながら私新二の弱みを握って無理やり付き合っているって思い込んでいるようだけど、先に告白してきたのは新二のほうからなのに…。




「冬海さんみたいなぁ平凡そうな顔の子を新二君が彼女にする訳ないでしょぉ!新二君が可哀想よぉ!」




『平凡な顔って…確かに愛沢さんみたいに可愛くないけど…』





自分が可愛くないなんてわかり切っている事なのに愛沢さんは見下したような目で私を見る。




「まぁいいわ!新二君はあたしが幸せにしてあげるからさっさと別れなさいよぉ!」




「愛沢さんいい加減に…」








―パンッ!…―









他の子達が愛沢さんに意見しようとしたときにカッとなって愛沢さんの顔を平手で叩いた。





『いい加減にして!』






「なにしてんの?」





『!…新二…』





「ふぅえぇん!新二くぅん冬海さんがぁ優梨愛の事殴ったのぉ!」





教室に男友達と帰ってきた新二に私が愛沢さんを叩いた所を見られ、愛沢さんは新二に抱き着き泣きついた。





いや…新二に見られちゃった…新二に嫌われる?

愛沢さんは私の方をニヤニヤして笑っているのが見えて、凄くムカついた。




「玲奈大丈夫か?」




『ふッ…ひっくッ…新二ぃ…』






新二は抱き着いている愛沢さんを離して真っ直ぐ私のところに来てくれた。





「新二くぅん!優梨愛叩かれたんだよぉ!」





「それはアンタが玲奈になんか言ったのが原因だろ」




新二の声が怒っている時の声だった、抱き着いている私には今の新二の顔は見えないけどこの声は絶対に怒っている、クラスの子も愛沢さんと私の会話を聞いているから愛沢さんの味方になるひとは一人もいない。




「違うよぉ〜優梨愛なにもしてないもん!」





「いい加減にしろよ!このアマ!教室の外にまでテメェの声が聞こえてきてんだよ」





「ひぃ…ッ!」


新二がドスの効いた声で言うと愛沢さんは慌てて教室から逃げ出していった。



『新二…』






「もう大丈夫だからな!玲奈を傷つけるやつは居なくなったぞ!」




新二の顔を覗くといつもの明るい笑顔で私の頭を撫でてくれた、クラスの子達も私に励ましの言葉をくれた。








それから次の日…愛沢さんが行方不明になったと担任から聞かされた。





「玲奈もう大丈夫だからな!あの雌猫はもう学校にはこないから安心しろ」



『うん!新二大好きだからね』




愛沢さんの行方不明には絶対に新二が関係あるだろう





たぶん…新二によって愛沢さんはもうこの世にはいないと思う…









END

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