短編用

□ヒトリシズカ(隠された美)
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俺が気になる子は学校一の地味子だった。






1か月くらい前に俺の居るクラスに転校生が来た最初の印象は【地味な奴】黒縁眼鏡に黒髪で三つ編みをしている暗そうな奴。




名前は冬海玲奈、いつも教室に来ると自分の席に座って分厚い本を読んでいる。



「ねぇ竜二〜今日カラオケ行くんだけど行かな〜い?」




これでも俺は顔の良い方でしょっちゅう化粧バッチリの女子共が猫撫で声で誘われるが今日は明日提出期限の課題があり図書館で調べたく断ると彼女らは別に良いじゃんと言ってくるが断り続けると最終的には「じゃぁまた誘うねぇ〜」と言いながら教室を出て行った。




『あれ…もう居ない?』





さっきまで自分の席で本を読んでいた冬海さんはいつの間にか居なくなっていて、俺も図書館に行くのに荷物を持って教室を出て行った。




学校から俺の家の途中にある図書館は種類が豊富だが俺意外の学校の生徒が来なくて家以外で唯一落ち着ける場所でもある。




いつもの奥にある日当たりのいい席に行くと意外な人物が座っていた冬海さんだった。





眼鏡も外し三つ編みにしてあった髪の毛をおろしていて静かに本のページを捲っていた。





今目の前に居る冬海さんが学校に居る時の彼女と同一人物だと言われても信じられないであろう。





『冬海さんだよね?相席してもいいかな?』




「荒木君…どうぞ」





何でもないように話しかけて相席してはいるが、俺の心臓は冬海さんにでも聞こえるんじゃないかってくらいドキドキしている。




課題を少しずつ書いてはいるが正直目の前の彼女が気になって集中できない、冬海さんは俺の視線に気づいたのか俺の方に視線を向けるとメモ用紙を取り出して書くと俺に差し出してきて見てみるとメモには【何か用ですか?】と書いてあったので【目悪くないんだな】って書いて渡すとスラスラと返事書いてまた渡してくれ見ると【伊達眼鏡なので、あと問3の答えを間違えています】っと書いてあったので見ると本当に間違えていて【ありがとう】と返す【どういたしまして】と返してくれた。





それから互いに書いて会話をしたり課題の間違えている所や分からない所を教えてもらったりしているとだんだん楽しくなり図書館の閉館時間まで続けていた。






『冬海さん今日はありがとうおかげで課題も終わったし話せて楽しかった』





「いいえ、私の方こそありがとう荒木君のお役にたててよかったです」





笑みを浮かべる冬海さんはやっぱり綺麗でメガネで隠すなんてもったいないと思う。



それからは女子達の誘いを断るようになって友人達と軽く雑談をするとそのまま図書館に行くのが日課になった。




『冬海さんまた良いかな?』




「はい、どうぞ」





図書館の奥にある席に行けば冬海さんがいつも本を読んでいて、その前に俺が座り本を読む静かな空間だが俺自身はこの時間がお気に入りである。





そんな毎日を過ごしていると教室でも冬海さんに話しかけるようになり、恋愛感情として冬海さんが好きになった。




そんな俺の行動に男子はふざけて「竜二って最近冬海さんと仲が良いよな〜」なんて言うから俺自身は結構嬉しかったから笑いながら『いいだろ〜』なんて言っていると周りに居た女子は嫉妬の目で冬海さんを睨んでいたことに気付かなかった。





放課後図書館で借りていた本を教室に忘れたことに気付いて自分の教室にもどっていると教室に向かえば向かうほど怒鳴り声が聞こえてきた。




「ちょっと冬海さん!竜二君は優しいからアンタみたいな暗い子にも優しくしてるだけなんだから調子のんないでよね!?」





「…私はそんなつもりッ…」





「言い訳してんじゃないねーよ!」





「ッ!」





『…痛ッ…』





「荒木君ッ!」






教室で俺に纏わりついてきていた女子が冬海さんに怒鳴り散らし平手で顔をはたこうとしている姿を目撃して俺はとっさに冬海さんを庇って女子の平手を食らうと彼女とさっきから怒鳴っていた女子達が驚いていた。





まさか俺がでてくるなんて思っていなかった女子は「竜二君ッ」と言って近づいてきたが俺は睨み近づかせずに冬海さんを背に隠した。





『テメーらいい加減にしろよ…冬海さんになにイチャモンつけてんだよ』





「あたしらは迷惑だと思ってる竜二君の為にッ!」





『俺いつお前等に冬海さんが迷惑だって言ったよ』






言い訳をしてきた女子に俺は冷めた声で言うと黙って信じられないと言った顔で俺を見ていた。





『わりーけど今後冬海さんに手出したら俺でも黙ってねーからな』





「ッ…サイテー!」




1人がそう言うとほかの女子も教室を出ていく中には泣きながら出ていく奴もいたけど俺の中では冬海さんの方が優先だ。





『冬海さん大丈夫か?』





「私は…大丈夫だけど…荒木君が」





俺が聞くと冬海さんは目に涙を溜めて俺を心配してくれた。






身長は俺の方が高いため自動的に上目使いになってあまりの可愛さに俺の心臓の音が聞こえるんじゃないかってほどドキドキしている。





『俺は平気だって…俺の方こそごめんな?俺のせいで冬海さんに危害がいったし』





「違うよ…私が荒木君と仲良くしてたのが悪いんだし」






『それこそ違うぜ、俺は冬海さんだから仲良くなりたかったんだしな』





「…ありがとう」





涙目で笑いながらお礼を言う冬海さんにチャンスは今しかないと思い俺の気持ちを伝えることにした。





『それに…今言うのもなんだけどさ…俺冬海さんが好きだ』





「えッ…」






突然告白をした俺に冬海さんは驚いた顔でみてきて俺の顔は熱があがり真っ赤であろう。





『初めて図書館で会ったときから気になってたんだよ』





「ッ…うそッ…私あのこ達みたいに可愛くないし…面白い話もできないし…」




『十分可愛いし俺は話してて楽しかったぜ…俺の気持ちは変わらない俺は胸を張って冬海玲奈が好きだと言える』





真剣な目で冬海さんを見ると顔を赤らめているが俺の目をしっかり見てくれた。





「私も…荒木君が好きです」





『…マジで…夢じゃないよな?なんちゃってじゃないよな…』






「ふふ…夢じゃないよ…私は竜二が好きです」






俺はOKがもらえると思えなかったから一瞬なにを言っているか分からなかったが現実味が後からジワジワと出てきてとっさに冬海さんを抱きしめた。






『これからよろしくな玲奈!』






「よろしくね竜二君」




俺が好きな子は学校で一番の地味子と呼ばれていた子でした。





END

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