「やば、止まん、ねっ…ん…っ」

「っぁ…ン、はぁっ…バ、ッカっ…や、めっ」


逃げようとしているわけじゃないのに
イザークの腰を逃すまいとしっかり掴み、抉るように突き上げる
シーツに顔を押し付け、その快感を残らず堪能する愛しい姿
うつ伏せの滑らかな背中がうねる度、感じてくれているんだと嬉しくなる

背骨に沿ってキスをして、時には舌を滑らせて
片手はイザークの主張しているモノを握り込み、小刻みな快楽を与える
その度に淫らに散らばる銀髪も、オレの欲情をそそって止まない



3月29日 午前0時



時計の針が、誕生日を迎えたことを知らせる



でも、その時オレたちは
そんなのはどうでもいいと思うほど我を忘れ



激しく絡み合い




深く貪り合い




強く求め合い






無我夢中で愛し、侵し合っていた








「今年もこうやって、イザークと誕生日を迎えられて幸せだな」

体を休めた後、裸のままブランケットに包まって
しっとりと汗ばんだ白い肩を抱き寄せ囁くように語り掛けた


「…しかも毎年、ベッドの中で。ね」


わざと耳元で吐息交じりに言えば、イザークが反応しないわけがなく
まだ重苦しい体は動かさずに、顔だけをこちらへ向け口を開いた


「いつもいつも、こんな誕生日で、貴様は本当に満足なのか!?」


あんなに感じて、喘いで、イイ声で啼いて、イキまくったクセに
セックスの後のクールダウンぶりにはこっちが泣きそうになる


「あったり前じゃん。オレが一番欲しいものを毎年くれるんだもん」

「けど…な!!」


体を重ねた後はいつもこうだ
せっかくの誕生日なんだから、さっきまでの甘い蜜のような幸せな時間の余韻に
どっぷりと浸らせてくれたらいいのに


「前から言いたかったんだ」

「…何?」


嫌な予感がしたから、オレはつい声のトーンが低くなってしまった
イザークはそれを諸共せず、ゆっくりと上半身を起こしてオレをまっすぐに見つめ言った


「貴様は、本当にこのままでいいのか?」


なんとなく、言いたいことがわかってしまう自分が悔しくて
でも、そこから目を背けるには無責任すぎる気がして


「いいに決まってるじゃん。何度言えばわかるんだよ」


そう、言い切った


イザークが面を食らったような顔をしても、
こんなふうに、言い返す内容はいつもと同じ
だって、本心なんだから仕方ねえじゃん


それでも、この我の強い恋人は
今度は視線を外しながら、オレの望まない言葉を吐き続ける


「オレたちはこれ以上…進めない」

「だから、今のままで十分だって言ってるだろ?」

「オレは、いくら貴様に…抱か…れても、何も残せないんだぞ…!?」

「わかってるって」

「今は、そう言っていられるかもしれないが、いつ貴様の気が変わるか…!」

「変わんねーよ!!」


オレは少し苛立って、怒鳴り気味に言い返した


体温を分かち合った後は、急激に寂しさが襲うらしい
それはオレも同じで、内にある炎が激しく燃え上がった後に、静かに消えていくような
そんな孤独感で満たされる


いくら、隣に相手がいても
もっと欲しくて、もっといて欲しくて


ずっとずっと、そばに居て欲しくて
そう願うばかりで


イザークが何に怯えているのか
はっきりと口では言わないけれど



なんとなく、わかる



きっと、オレと同じものに怯えている



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